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化学療法の副作用と対策

化学療法には、なんらかの副作用がつきものです。副作用の程度は、各個人でさまざまです。 副作用一覧は以下の通りです。

副作用一覧

○脱毛

乳がん治療に使用する多くの薬では、髪の毛が抜けてしまいます。脱毛は、はじめの点滴から2週間後くらいで始まります。眉毛、まつ毛や体毛が抜けることもあります。髪の毛が長い人は、短めにしておくとよいでしょう。
現時点で脱毛を予防する有効な手段はありませんので、かつら(ウィッグ)、つけ毛、バンダナ、帽子などを使用します。髪は治療が終わると生えてきますが、生え始めは髪質などが変わることがあります。
ウィッグの作成については看護師に相談できます。また、横浜市には助成金制度などもございます(2019年現在)。5階にアピアランスケアルームがございますので、そちらもご利用下さい。

○免疫力の低下

抗がん剤により、血液を作る骨髄の働きが抑制され、白血球の一部である好中球が少なくなり免疫力が落ちる副作用です。
ほとんどの抗がん剤で発生する副作用ですが、その時期はくすりの種類によって異なります。
好中球という免疫担当細胞が減ると、外部からの菌などへの抵抗力が落ち、熱が出ることがあります。好中球が減っていても、熱が出なければ、問題はありません。
免疫力を高める方法は今のところ分かっていないので、防御が対策の中心となります。
発熱を認めた場合、または、発熱の確率が高い抗がん剤を使用する場合、好中球を増やす薬を使用する場合があります。

主な抗がん剤と好中球の減少時期は、
EC療法:注射後12-16日目
DTX療法:注射後5-9日目
TC療法:注射後5-9日目

【自宅で出来る対処法】

  • 手洗い、うがい、マスクの着用
  • 感染している人に近づかない
  • 人混みを避ける
  • 虫歯があれば事前に治療しておく
  • 時間が経った食品や生ものは控える
  • 入浴は可能な限り毎日行い、皮膚を清潔に保つ

【こんなときは病院に連絡を】

  • 38.0度の発熱があり、息苦しい、ぜーぜーする、息をすると胸が痛い、がたがたと震えがくる、気分が悪く水分もとれない。
  • 抗生剤を飲み始めてから3日経っても37.5度以上の発熱がある場合

○咳や息切れ

頻度はまれですが、注意すべき副作用の一つに肺炎があります。
咳・息切れと発熱が3日以上続く場合は、病院を受診しましょう。

【こんなときは病院に連絡を】

  • 次の症状が急に現れた時や3日以上続く場合、だんだん強くなってくる場合
    (運動したり坂道・階段を上がったり、少し動いただけでも息切れする、息苦しくなる、空咳(痰を伴わない咳)がでる
  • 強い咳や息切れが出る場合
  • 動悸を伴い、それがどんどん強くなる場合

○吐き気・嘔吐(主に点滴当日~4日間)

抗がん剤の副作用として有名な吐き気は、吐き気止めの進歩と予防投与により、頻度が少なくなっています。吐き気(むかむか)・嘔吐(吐くこと)は、抗がん剤により、消化管粘膜や嘔吐に関係する脳の一部が刺激されるために起こります。抗がん剤を使用した直後から24時間以内に現れる急性嘔吐のほか、24時間から1週間ほどの間に起こる遅発性嘔吐、薬を用いることを予期して吐き気や嘔吐が起きる予期性嘔吐があり対処法は異なります。

吐き気は、すべての抗がん剤で起こるわけではなく、程度も抗がん剤により異なります。EC療法など比較的吐き気の起こる割合が高い抗がん剤を使用する場合は、抗がん剤点滴の前に予防的に吐き気止めを使います。また、投与翌日からも内服で吐き気を抑える薬を使用します。TC療法や、DTX、PTX療法は、比較的吐き気は少ないとされています。
吐き気が出現した場合、症状により他の薬を追加する場合がありますので、医療スタッフにご相談ください

【自宅出来る対処法】

  • 処方された吐き気止めは、処方通りに内服する
  • ムカムカする時は、無理に食べない
  • 食欲がないときは、食べられる範囲で、数回に分けて食べる
  • 水分摂取をこころがける
  • 気分転換を行う事も有効

【こんなときは病院に連絡を】

  • 水分がまったくとれずぐったりしている。
  • 水分をとっていても10回以上嘔吐する。

○味覚の異常

抗がん剤により、味覚の障害を生じます。口の中が乾燥し、苦みや辛味だけが強調される、味がなくなる、うま味を感じにくいなどの味の変化現れることがあります。味覚障害には特効薬がないため、うがいや飴を舐めるなど、口の中の乾燥を防ぎ、よく噛んで食べるなどの工夫が必要です。また口の中を清潔に保っておくことも大切です。希望があれば栄養士に食事の相談をすることもできます。

○食欲不振

抗がん剤による食欲不振が出現した場合、味覚障害や口内炎、下痢、便秘などが関与している可能性もあります。原因に応じた対処と食事の工夫をすることが大切です。

【自宅出来る対処法】

  • 食べたいもの、おいしく食べられるものを、食べたい時に好きなだけ食べる
  • 脱水症状を起さないように水分はできるだけ、少量を小まめにとる

【こんなときは病院に連絡を】

  • 食事も水分も全くとれない
  • 体重がどんどん減っている

○出血性膀胱炎

EC療法や、TC療法に含まれるC:シクロホスファミド(商品名エンドキサン)による副作用として起こる副作用です。点滴後尿に血液が混じったり、排尿時の痛みや灼熱感を感じたら、医師へ報告して下さい。

【予防方法】

  • 抗がん剤後に、水分摂取を心がける

○爪の変化

ドセタキセル(DTX)・パクリタキセル(PTX)の副作用として、手足の「爪」の障害があります。爪に線が入ったり黒ずむ程度の人もいれば、爪が脆くなって割れたり、感染を起こして剥離にまで進行する人もいます。炎症を起こした場合や痛みがある場合には、医療者にご相談ください。

【自宅で出来る対処法】

  • 治療前から爪の保湿を行う(保湿剤を爪に刷り込む)
  • 爪が割れやすいときは、トップコートで保護する
  • 爪色が気になる時はマニキュアを利用する(通院日はオフしてきてください)

○皮膚障害

抗がん剤による皮膚障害には、発疹・発赤・乾燥・かゆみ・色素沈着(黒ずみ)・手足の荒れ、ざ瘡様(にきびのような皮疹)皮疹などがあります。症状が強くなると、日常生活に支障を来すこともあります。
抗がん剤治療により皮膚のバリア機能に影響を受けることが原因の一つと考えられています。治療を中止あるいは終了すれば、時間の経過とともに改善していきます。皮膚障害を完全に予防する方法はないため、症状に応じた、適切な対処(軟膏治療等)が大切です。抗がん剤開始後は、バリア機能を守るため清潔を保ち、皮膚への刺激を避け、保湿することが基本となります。

【自宅出来る対処法】

  • 治療前から皮膚の保湿や日焼け止めを使用する
  • 皮膚への刺激を避けるため、家事を行う際はビニール手袋を装着する
  • 乾燥しやすい手足は、保湿剤を多めに塗り布手袋などを装着してから就寝する
  • 発疹や発赤などが出現した場合は、診察時に医師に伝える

○アレルギー

頻度はわずかですが、抗がん剤投与後に起こりうる副作用です。
アレルギー症状は、抗がん剤に対しても起こることがあります。主に、ドセタキセルやパクリタキセル、ハーセプチンなどで起こりやすい副作用で、ほとんどは初回投与時に出現します。初期症状として息苦しさ、発疹、痒み、などがあげられます。この他にも以下の症状が出現した際は速やかに医療者へ報告してください。

【こんなときは看護師に知らせる】

  • 投与10分以内に蕁麻疹のような発心が全身に広がっていく
    (咳などから始まることが多い)
  • 寒気、発熱、のどの違和感、息苦しさ、呼吸困難などの症状が出たとき
  • 上記以外の症状でも、点滴後にいつも違うと感じたとき

○末梢神経障害

パクリタキセル、ドセタキセルといったタキサン系のおくすりで、手や足のしびれ、ピリピリ感、感覚が鈍くなることがあります。薬の回数が増えるほど、症状が強くなる傾向があります。しびれの症状は、半年くらいで気にならなくなる場合も多いようですが、長く続く場合もあります。
一部有効とされるくすりもありますので、医師、看護師、薬剤師にご相談ください。

【こんなときは医師・看護師・薬剤師に伝える】

  • 服のボタンがかけにくい
  • 物がうまくつかめない、よく物を落とす
  • 文字がうまくかけない
  • 転びやすい

○血管外漏出

点滴中に抗がん剤が血管外に漏れ出てしまう事が、稀にあります。抗がん剤の中には皮膚への刺激が強い物があり、大量に漏れると皮膚障害を起こす可能性があります。点滴周囲の痛みや腫れを感じたら速やかに医療者へ報告してください。

【予防方法と対処】

  • 点滴中は刺入部をなるべく動かさない
  • 痛みや腫れを感じたら速やかに看護師へ報告する

○心臓に対する影響

EC療法やハーセプチンには心臓に対する副作用があります。症状は、歩いていると息苦しくなったり、むくみが出ることがあります。化学療法前に、心機能のチェックは行いますが、症状がみられたときには、医療スタッフに相談してください。

○関節や筋肉の痛み

タキサン系薬剤で関節の痛みや筋肉の痛みが現れることがあります。ほとんどは一時的で1週間以内に回復します。強い場合は痛み止めで対処します。

○むくみ

ドセタキセルの投与を重ねていくと、手足や顔にむくみが生じることがあります。むくみには、利尿薬(尿を出す薬)を使用することもありますが、効果は限定的です。急にむくみが出た時は医療スタッフに相談しましょう。

○下痢

抗がん剤が腸の粘膜にダメージを与えて、下痢症状を起すことがあります。重症の場合は調整剤や下痢止めを使用します。

○便秘

抗がん剤では、便秘をする場合もあります。特に点滴後、一週間程度に多くみられます。日頃から便秘をしがちな患者さんは、お通じを柔らかくする薬を使うことを検討します。(市販の便秘薬を使用しても問題ありません。)

○だるさ

抗がん剤投与後数日間、場合によっては一週間以上全身のだるさが出現することがあります。だるさをとる目的で、ステロイドという薬を抗がん剤投与中は使用しますが、根本的な対処法はありません。だるい時には無理をせず、しばらく横になるなどしてください。

○卵巣機能の障害

抗がん剤が卵巣に障害を与え、閉経状態になることがあります。閉経になる確率は治療開始時の年齢と抗がん剤の治療内容により変わります。治療開始時の年齢が40歳以上の場合は閉経になるリスクは高まります。また、いったん無月経になった場合、特に40歳以上の方の場合は、そのまま閉経となる可能性が高いようです。妊娠・出産の希望がある場合には、医療スタッフに相談してください。

○高血圧

アバスチンとう薬では、血圧が上昇することがあります。自覚症状があまりないので、アバスチンによる治療期間中は定期的に血圧を測定することが大切です。

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