
当院では、診療内容説明時に、内容説明書を発行しております。
診療内容説明書(術後)

①手術後の病理診断
病理診断名:乳がんの形態学的な名前です。まれに、治療方針に影響があることがあります。
Stage:Stageはがんの進行度を表します。
乳癌のStageは、浸潤径(浸潤がんの大きさ)、リンパ節転移個数で決まります。
Stageの分類は“乳がんのステージ”へ
がんのタイプ:乳がんにはさまざまなタイプがあり、それによって治療方法も異なります。
がんのタイプは、細胞にあるアンテナ(レセプター)の種類と、増殖能力で決まります。
エストロゲンレセプター・プロゲステロンレセプターホルモンレセプターです。ホルモンレセプターのある乳がんは、女性ホルモンの刺激で増えるとされているため、ホルモン治療が効果的です。 |
HER2レセプター増殖因子のレセプターです。HER2レセプターが出ている細胞は、その刺激により、活発に増えることが知られています。抗HER2療法という分子標的治療の効果が期待できます。 |
Ki67増殖中の細胞周期にある細胞に存在するマーカーです。簡単にいうと、増える細胞が染まるため、その割合が高いほど、がんの増殖能力があるとされます。一般的に20%以上であれば、増殖能ありと判断します。 |
核グレード核の異形度(正常からのへだたり具合)と核の分裂像から判断するグレードです。がんの悪性度を示します。1~3まであり、3は、悪性度が高いと判断します。手術後の検体では、針生検と違い腫瘍の全体が観察できるため、手術前と手術後で、グレードが変わることがあります。 |
②今後の方針
- 追加手術
- 術後の病理診断で、切除した検体の周囲に、がんが残っている可能性がある場合に行います。
- 放射線治療
- 乳房部分切除の場合、または、乳房切除後にリンパ節に多数の転移があった場合に、再発抑制のために行います。
- 全身治療
- 薬の治療です。がんのタイプと進行度により治療方法を決定します。(詳細は、“術後治療について”参照)
③今後のフォローアップ
乳癌では、いかに適切な術後治療をするかが、患者さんの命に関係します。フォローアップについては、年一回のマンモグラフィーのみが世界的には推奨されています。乳房内にある早期のがんを見つけ、根治につなげるためです。CTなどによる転移の検索は、患者さんの余命に影響を与えず、放射線被ばく、コスト、心理的影響などがあるため、日本をはじめ世界のガイドラインでは、推奨されていません。