横浜市立みなと赤十字病院泌尿器科

尿が出にくい


考えられる原因

男性では尿が出にくい症状があれば前立腺肥大症の可能性があります。
前立腺肥大症は男性に多く、60歳を過ぎると2人に1人は前立腺肥大があるといわれています。症状は、頻尿・夜間頻尿・尿意切迫感などの蓄尿障害と、尿が出にくい、切れがわるなどの排尿障害があります。まずは、尿検査、超音波検査、直腸診を行い、感染・結石などを除外します。また、前立腺癌の合併を判断するためにPSA検査を行います。
 前立腺肥大症と診断された場合でも、困っていなければ治療をするとは限りません。前立腺肥大は年齢の変化でもあり病気ではありません。あくまで、生活の質(QOL)を害して治療を望まれる場合には、主に内服薬で治療します。
 
行われる検査

>問診
 具体的な症状をうかがいます。いつからの症状か、症状の程度に変化はあるか?、日中と睡眠中の尿の回数と間隔、尿の勢い、力まないと出ないか、とぎれとぎれに出るか?などの症状をおしえていただきます。

>尿検査
 膀胱炎、前立腺炎がないかを調べます。

>残尿検査
 排尿後に小さな機械を下腹部にあてることで、簡易的に尿が残っていないかどうかを調べます。尿が膀胱内に緊満して十分でない状態(尿閉)の場合は尿道カテーテルを挿入します。

>エコー検査
 機械をおなかにあてて、膀胱内の結石や腫瘍の有無、前立腺肥大症の程度などを診察します。

>直腸進
 直腸から指を挿入して前立腺を触診します。前立腺肥大の程度、前立腺癌の可能性を診察します。

>PSA検査
 前立腺癌の可能性を判断する腫瘍マーカーです。

治療

内服薬 内服薬には一般的にα遮断剤(前立腺部尿道を緊張をほぐす)を使用し、植物エキス配合剤(前立腺浮腫を抑える)や、5α還元酵素阻害剤(前立腺を縮小させる)も併用する場合があります。
 過活動膀胱と症状が似ていますが、過活動膀胱治療薬である抗コリン剤(膀胱をゆるませる)は排尿障害が悪くなる場合があり、注意が必要です

手術 尿道鏡を尿道から挿入し、内視鏡的に尿道から前立腺を切除する手術を行います。ループ状の電気メスで切除する従来の手術(TURP)と、レーザーで前立腺をくりぬく手術(HoLEP)があり、ともに当院で施行しています。

尿道カテーテル留置 尿閉の場合は一時的に尿道にカテーテルを挿入して尿を排泄します。膀胱内でバルーンを膨らませて抜けないように固定されます。 集尿バッグにつないで持続的に流出させる場合やキャップをして、開け閉めで排尿していただく場合があります。薬で改善せず、手術を望まない(あるいはできない)場合は半永久的にカテーテル管理となります。カテーテルは1か月ごとに交換します。