横浜市立みなと赤十字病院泌尿器科

尿が近い、間に合わない、尿もれ


考えられる原因

数日で急に症状がでた場合は膀胱炎の可能性があります。
ただし、週、月単位、場合によっては数年来の症状であれば、過活動膀胱かもしれません。
過活動膀胱は女性に多く、70歳を過ぎると3-4人に1人が症状を持っているといわれています。尿意切迫感を伴う頻尿がある場合、膀胱炎や結石、がんなどが除外された場合に、症状の症候群として過活動膀胱とよばれます。膀胱が敏感になるために症状が起き、決して病気ではありません。ただし、生活の質(QOL)を害する場合には、主に内服薬で治療します。
また尿もれを伴っている場合は、過活動膀胱による尿もれ(切迫性尿失禁)以外に、咳やくしゃみ・力を入れたときに漏れてしまう腹圧性尿失禁があります。腹圧性尿失禁では有効な治療法(手術)があります。
他に男性の場合は前立腺肥大症が隠れている場合もあります。
行われる検査

>問診
 具体的な症状をうかがいます。いつからの症状か、症状の程度に変化はあるか?、日中と睡眠中の尿の回数と間隔、尿もれがある場合にはその症状(間に合わなくてもれるのか?咳・くしゃみなどでもれるのか?)や程度(1日何回くらいか?パッドが何枚必要か?など)をおしえていただきます。

>尿検査
 膀胱炎の場合は重要な検査です。出血や感染・炎症がないかを調べます。

>残尿検査
 排尿後に小さな機械を下腹部にあてることで、簡易的に尿が残っていないかどうかを調べます。通常の尿もれでは残尿がないのですが、尿もれの原因が、まれに慢性尿閉(尿がつまっていて、あふれでるような失禁)の場合があり、疑われる場合にのみ実施する検査です。尿閉の場合は尿道カテーテルを挿入します。

>エコー検査
 機械をおなかにあてて、膀胱内の結石や腫瘍の有無、前立腺肥大症の程度などを診察します。

>膀胱造影(予約検査)
 腹圧性尿失禁で手術を希望される場合には、膀胱や尿道のぐらつきを調べるために膀胱造影検査を行います。尿道から造影剤を注入して、立位で腹圧をかけて膀胱や尿道の垂れ下がりや動きをみます。

治療

過活動膀胱 主に内服薬(抗コリン薬)にて治療を行います。最近は便秘や口渇の少ない新しい薬があります。切迫感を伴う尿もれ(切迫性尿失禁)も同様の薬で治療します。

腹圧性尿失禁 咳やくしゃみなどにともなう尿もれは、骨盤底筋体操(お尻の穴をしめる練習)で一定の効果があります。内服薬も併用しますが効果が少ない場合には手術を行います。手術は尿道のぐらつきをメッシュのテープでささえる尿道スリング手術を行います。4日ほどの入院で、手術時間は30分から1時間です。8-9割の方に効果があります。

膀胱炎 水分を多く摂取することで自然にもよくなりますが、病院では抗菌剤で治療します。3-5日の内服で改善します。1週間以上内服しても改善しない場合は、抗菌剤を変更したり、別の病気がないかどうか詳しくしらべます。