抗菌薬適正使用支援チームについて

2024/01/29

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 今回は抗菌薬適正使用支援チーム(AST: Antimicrobial stewardship team) についてお伝えします。ASTは薬剤師が中心に活動を行い、医師、検査技師、看護師で構成されています。
 薬剤耐性 (AMR : Antimicrobial resistance) という言葉をご存知でしょうか。今世界が直面している大きな問題として、細菌やウイルスに薬が効かない耐性の微生物による死亡者数が2050年にはがんによる死亡者数を超えると懸念されています。そのためAMR対策として、抗菌薬の適正使用を推進する動きが世界的にも広がっており、日本も例外ではありません。
 適正使用とは、必要なときに必要な量を必要な期間使用する、ということです。私たちの身近なところでいうと、一般的な ”風邪” はウイルスによることがほとんどであり、抗菌薬の処方は不要である場合が多いです。また処方された抗菌薬を、体調がよくなったからと自己判断で服用を中止したり、残った薬を他人へ譲ったりすることも適正使用とは言えません。
 外来処方への介入はもちろんですが、感染症で入院される患者さんも数多くいます。その感染症の原因菌を推測、確認しながら最も適切な治療が行われるよう支援する、それがASTの活動です。写真は、血液中から検出された細菌を検査技師が染色し、AST医師と一緒に顕微鏡で観察しているところです。細菌の色や形、大きさと、患者さんの病態や既往など様々な情報から菌の種類を想定し、投与されている抗菌薬で治療が適切に行われているかを考え、治療の変更が必要であれば主治医へ提案します。最終的には同定された菌がどの抗菌薬で治療できるかまでわかるため、患者さんごとに適した抗菌薬を主治医へ提案し感染症診療のサポートを行います。
 これ以外にも院内外で様々な感染症に関連した薬物療法について、積極的な情報提供活動に携わっています。