病理診断科について
当科は病理診断を専門に行う診療科です。以前は検査部の一部門としての病理検査室という名称でしたが、2013年4月に一つの診療科としての位置づけを与えられ、病理診断科という名称を標榜しました。
ところで内科、外科、産婦人科、などといった診療科の名前はどなたもお聞きになったことがあるかと思いますが、病理診断科という診療科の名前やその診療内容をご存知の方は少ないのではないでしょうか。
これはこの診療科の看板は院内には見当たらず、またここで診療行為に従事する医師や職員が、病院に来られる皆様の前にふつうは姿を現さないからであると思います。
皆様の診療に直接当たる医師は、診断のために必要と判断した場合、針や小さな刃物などを使って、病気がある場所から直接に組織や細胞を切り取って調べようとすることがあります。
病理診断科の役割は、この組織や細胞を受け取って標本(プレパラート)とし、顕微鏡で詳細に観察してそれがどのような疾患であるかの診断を行うこと、すなわち病理診断を行うことです(またこの診断を行う医師を病理医と呼んでいます)。
たとえば標本の中にがん細胞を見出すことによって、「がん」の診断を確実にするというのは、病理診断の代表的な例の一つです。病理診断結果の報告はふつう、皆様に直接ではなく医師に対して行われますし、また当科にも看板はありますがそれは病院の奥で医師に向けて出されているなど、当科の診療は皆様が直接目にされる病院診療の場からは一歩下がったところで行われております。
このように病院の奥まったところでではありますが、ここに勤務する病理医は、正確な病理診断を行うことが適切な治療につながるという意識を忘れることなく日々顕微鏡に向かう一方、診療を行う医師たちとの情報交換を密に行って、診療を受けられる皆様のニーズを知り、それに合った内容の診断報告を行うことを心掛けております。
現在、当科の常勤病理医は1名ですが、病理診断はその扱う領域が広いので、非常勤病理医とともに診断を行っています。
また、病理診断に使われる標本の作製技術についても、その日々の進歩を取り入れることでより精度の高い診断が行えるので、最新の技術を応用すべく当科に勤務する技師一同とともに努力しております。