消化器内科(肝・胆・膵内科)について
消化器科の診療内容
1.診療方針
良好な患者-医師-看護師関係を築けるようにします。
地域診療所、療養型病院と協力し患者さんの生活環境に適した医療を提供します。
最先端の医療を、安全を第一に考え必要な患者さんへ行います。
2.特に力を入れている疾患とその治療
早期胃癌・早期食道癌の内視鏡治療
大腸ポリープ、早期大腸癌の内視鏡治療
総胆管結石の内視鏡治療
閉塞性黄疸の内視鏡治療
ウイルス性慢性肝炎のインターフェロン治療
肝臓癌の非外科的治療
手術困難な食道癌・胃癌・大腸癌の治療法の選択
膵臓癌の治療法の選択
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)の治療法
それぞれの詳細については以下を参照ください。
早期食道癌、早期胃癌の内視鏡的切除術(EMR)
食道癌、胃癌は内視鏡検査が普及して早期で見つかる症例がふえてきました。早期発見により、内視鏡的粘膜切除術(総称してEMRと略します)が可能となります。EMRとは、食道や胃に発生する粘膜病変(ポリープ、腺腫、早期がんなど)を内視鏡を使って、高周波電流にて切除する方法です。利点として手術創の痛みがない、早期の食事開始が可能である、手術後も胃が温存されるため食生活が保たれることが挙げられます。実際にEMRが可能かどうかは病変の大きさ、深さ、部位、組織型や患者さん自身の状態などから外科での開腹手術が必要か消化器科でのEMRで根治可能かを総合的に判断します。
大腸ポリープ、早期大腸癌の内視鏡的治療
大腸ポリープ
大腸にできる隆起性の病変を一般に大腸ポリープといいます。大半が腫瘍性のもので、放置しておくと少しずつ大きくなり、なかには一部が癌化することがあります。ほとんどの大腸ポリープは大腸内視鏡検査にて切除することが可能です。 切除する時には痛みはありません。合併症は切除した部分から出血したり穿孔といって腸に穴があくことがありますが、頻度は極めてまれです。
早期大腸癌
早期大腸癌とは大腸壁の粘膜層、粘膜下層までに癌がとどまっているものと定義されています。粘膜内にとどまる早期のがんは、内視鏡的に切除することで完全に治癒します。粘膜下層にまで拡がっていれば、リンパ節転移の危険性が約10%あるため、内視鏡的に切除できても、追加外科的治療が必要となることがあります。
総胆管結石の内視鏡的治療
胆嚢と十二指腸をつなぐ管を総胆管といいます。総胆管結石症は結石が総胆管を閉塞し、それに伴い胆汁の十二指腸への流れを阻害することにより発症します。主な症状としては、胆汁の流れを阻害することで生じた黄疸、総胆管の閉塞による胆道内圧の上昇に伴う疼痛。閉塞・胆汁うっ滞が長期にわたると、胆管内に感染を合併し、重篤な状態になることもあります(胆管炎)。時に、乳頭部(十二指腸の出口)に嵌頓し膵管閉塞をおこすと急性膵炎を合併することもあります(胆石膵炎)。
治療法は、従来、外科的に開腹下での治療が唯一の治療法でありました。しかし、近年の内視鏡技術の進歩と処置具の発達により外科的手術はほとんど行われなくなり、内視鏡的に結石を取り除く治療が取って代わるようになっています。
閉塞性黄疸の内視鏡治療
肝臓では胆汁が一日に500cc作られています。その胆汁の通り道(胆管)が腫瘍により狭窄したり閉塞することで黄疸が出現した状態を閉塞性黄疸といいます。これは放置すると肝腎障害、出血傾向が出現し、炎症が加わると命に関わるような急性化膿性胆管炎、敗血症を引き起こします。
これには早急な減黄治療(ドレナージ術)が必要です。減黄減圧処置としては内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(ERBD)、経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)、経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)などの方法があり、迅速かつ確実に行う事が大切です。
C型慢性肝炎のインターフェロン治療
現在、日本中でおよそ200万人のC型肝炎患者さんがいます。そのほとんどの人が自覚症状がないまま静かに病気が進行し、肝硬変さらには肝臓癌になってしまうおそれがあります。インターフェロン治療はC型肝炎ウイルスを駆除する唯一の方法です。平成13年12月よりインターフェロン+リバビリン併用療法が保険適応になり、これを契機に治療患者さんが増えました。治療成績は、セロタイプⅠ型、高ウイルス量の人でウイルスが消えて肝炎が治る治癒率は55%、セロタイプⅡ型では治癒率は70~80%です。
肝臓癌の非外科的治療
肝臓癌はB型、C型慢性肝炎あるいは肝硬変を背景に発生するという特徴があります。そういう患者さんを当科では平均3-4ヶ月に一回の割合でフォローしています。残念ながら癌がでてきた場合の内科的治療としては、①腹部超音波を用いた局所治療と②カテーテルを用いた治療があります。
・ ラジオ波焼灼術(RFA)
平成16年4月より保険適応になりました。2cm~4cmぐらいの癌がよい適応です。ラジオはという高周波で腫瘍を焼きます。
・ 肝腫瘍動脈塞栓療法(TACE)
3cm以上で見つかった場合や一度に複数個の癌が見つかった場合に適応になります。肝臓癌を栄養する動脈の中にカテーテルを挿入して、抗がん剤と塞栓物質で血流を遮断します。
・ リザーバ―肝動注療法
これまでの治療で効果がなくなったり、癌が肝臓内に広範囲に広がった場合、カテーテルを肝臓の血管に埋め込んで持続的に抗癌剤を肝臓の中に注入します。最初は約1ヶ月間入院して治療を行い、その後は外来で点滴を続けます。
尚、肝臓癌は自覚症状が乏しく、自分では気がつかないことがほとんどです。一度できてしまうと繰り返し再発しやすく、何回か治療をする必要があります。B型肝炎やC型肝炎にかかっている人、一日3合以上お酒を飲む人は消化器科外来を受診してください。
進行食道癌、胃癌、大腸癌の化学療法
手術不可能な進行癌に対しては放射線治療や化学療法が有効な場合があります。癌の種類や進行度と患者さん自身の状態によって抗癌剤単独か放射線単独か両者の併用療法かが決まります。投与経路としては経口による内服、静脈からの点滴、動脈からの持続動注、腹腔内投与などがあります。副作用としては白血球や血小板などが減少する骨髄抑制や嘔気、食欲不振、下痢などの消化器症状が多くを占めます。初回の化学療法は原則的には入院で行いますが、最終的には外来での通院化学療法を目指します。定期的な血液検査や内視鏡検査、CTなどの経過観察も重要です。
・食道癌は、高齢者に多く手術侵襲も大きいことと、放射線や抗癌剤の感受性が比較的高いことから放射線併用化学療法を選択することが多くなります。食べ物が通らなくなる例や気管や大動脈への浸潤例が多く、全身管理や合併症に対する治療のため入院が原則となりなす。放射線治療は週5回施行し、6週間から7週間行います。放射線治療と同時に週5日間、一日数時間の点滴による抗癌剤治療が行われます。通常、放射線併用化学療法のあと1~2ヶ月の化学療法を追加し、外来での経過観察ないしは内服を主体とした化学療法に移行します。
・胃癌は、放射線治療効果が低く、抗癌剤による化学療法が主体となります。最近、治療効果の高い内服の抗がん剤が使用可能となっています。経口摂取可能な方にはこの内服薬を中心とした治療を行い、1~2週間で外来化学療法に移行します。
・大腸癌は食べものが通らなくなる腸閉塞を予防するために進行癌でも根治性が低くても外科的切除を行うことが多い病気です。この場合、手術後に内服の抗癌剤を服用してもらうことが多いです。
膵癌の治療法の選択
発生数は非常に緩やかに増加しているようです。当院でも年間約20人の膵臓癌の方の治療を行っています。膵臓は胃の背側に位置し、癌が発生しても診断が難しいうえに症状に乏しく、進行した状態で見つかることが多いのが現状です。治療は、外科的な手術による切除が原則ですが、残念ながら多くの患者さまが手術不能の状態で発見されます。手術不能例で閉塞性黄疸のある場合は、内視鏡的胆管ドレナージによる黄疸の治療がおこなわれます。現在は効果的な抗癌剤の出現により、治療成績も少しづつ向上しています。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の診断と治療
・潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性的な炎症を起こす原因不明の腸炎です。おもな症状は血便、下痢、腹痛で、病変部位は直腸から連続性に、大腸全体に広がります。診断には、大腸内視鏡検査を行います。急性増悪期の潰瘍性大腸炎治療はこれまでサラゾピリンやペンタサ、ステロイドホルモンなどの薬物療法が中心でした。いったん落ち着き緩解期に入るとステロイド剤を徐々に減らし、サラゾピリンやペンタサによる維持療法をおこなっていました。最近、ステロイド剤の副作用を起こさないように、早期に炎症を鎮静化する白血球除去療法が登場しました。当院においても積極的に導入し、ステロイド治療に抵抗する病状の方、ステロイドを減量すると再発する方、また最近ではステロイド未治療の方にも本治療法行っています。
・クローン病は10歳代後半から20歳代後半に好発し、主として小腸や大腸にみられる原因不明の肉芽腫性炎症性病変です。おもな症状は下痢、腹痛、体重減少、発熱です。4~6割の症例に痔ろうや肛門周囲膿瘍などの肛門部病変を認めます。また、時に、腸閉塞や大出血をきたし外科的治療が必要になることもあります。クローン病の内科的治療は栄養療法と薬物療法があります。薬物療法はサラゾピリン、ペンタサなどの投与の他、最近では、抗TNF-α抗体療法(レミケード)が保険適応となり、難治性のクローン病症例、外ろう(腸管皮膚ろうなど)症例に対して、免疫抑制剤と併用し、積極的に治療を行っています。
肝胆膵内科紹介文
消化器内科と共同診療しています。
ⅰ)肝癌で、ある程度小さく数も少ない場合ラジオ波という治療を行っております。これは超音波で癌を観察し、局所麻酔下で特殊な針を癌に誘導し電気の力で焼く治療です。
進行した肝癌は近傍の血管から栄養を取り込んでいます。カテーテルという直径1mm前後の中空な管を足の付け根から挿入、肝癌を栄養する血管まで運び、そこから抗癌剤や塞栓剤という物質を詰めることで兵糧攻めにする治療(TACE)を行っております。特に当科はBalloon-TACEと呼ばれる、より効率のよい治療を導入、多数実施しております。
当科はTACE+ラジオ波の併用も行っており高い局所制御が可能です。
更に一定の条件のもとに分枝標的薬と呼ばれる飲み薬も使用します。
ⅱ)肝硬変に伴う食道や胃など消化管静脈瘤については患者さまごとに異なる血行動態を精査したのちに、もっとも適切である治療を選択しています。食道は内視鏡下で静脈瘤内に固める薬を打ち込む治療と輪ゴムで縛る治療があり、血行動態を考慮し選択します。
胃の静脈瘤の一部はB-RTO(バルーン閉塞下逆行性シャント塞栓術)といって血管カテーテル治療を選択します。
ⅲ)肝硬変に伴う血小板減少や上記の治療でも困難な静脈瘤はPSE(部分的脾動脈塞栓術)といってカテーテルを脾臓の動脈まで運び、塞栓剤によって脾臓を小さくする治療を行います。
ⅳ)C型肝炎では以前よりあるインターフェロンという注射以外に、飲み薬だけによる治療も積極的に導入しております。特に肝癌治癒後に抗ウイルス療法を導入するケースもあり、肝臓をtotalで診るように努めております。
ⅳ)胆膵疾患については通常のERCPという内視鏡処置に加えてEUS(超音波内視鏡)を駆使し診断、治療を行っております。
外来担当医表・休診表
横浜市立みなと赤十字病院各科外来担当医表
診療科 |
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月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
備考 |
消化器内科 (肝・胆・膵内科)
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午 前 |
新患・予約外 |
深見 裕一 |
吉野 耕平 |
原 英展 |
新井 啓介 |
池宮城 秀和 |
- |
新患・予約外 |
金子 朋浩
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榊 一臣 |
荒井 克大 |
大友 有紀子 |
金子 由佳 |
- |
再診(予約) |
★先田 信哉 |
池宮城 秀和 |
金子 由佳 |
榊 一臣 |
吉野 耕平 |
★紹介患者のみ |
再診(予約) |
原 英展 |
大友 有紀子 |
金子 朋浩
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荒井 克大 |
深見 裕一 |
- |
午 後 |
再診 |
新井 啓介 |
- |
- |
- |
- |
- |
消化器内科
(肝・胆・膵内科)
午前 |
月 |
新患・予約外 |
深見 裕一 |
新患・予約外 |
金子 朋浩
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再診(予約) |
★先田 信哉 |
再診(予約) |
原 英展 |
火 |
新患・予約外 |
吉野 耕平 |
新患・予約外 |
榊 一臣 |
再診(予約) |
池宮城 秀和 |
再診(予約) |
大友 有紀子 |
水 |
新患・予約外 |
原 英展 |
新患・予約外 |
荒井 克大 |
再診(予約) |
金子 由佳 |
再診(予約) |
金子 朋浩
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木 |
新患・予約外 |
新井 啓介 |
新患・予約外 |
大友 有紀子 |
再診(予約) |
榊 一臣 |
再診(予約) |
荒井 克大 |
金 |
新患・予約外 |
池宮城 秀和 |
新患・予約外 |
金子 由佳 |
再診(予約) |
吉野 耕平 |
再診(予約) |
深見 裕一 |
備考 |
新患・予約外 |
- |
新患・予約外 |
- |
再診(予約) |
★紹介患者のみ |
再診(予約) |
- |
午後 |
月 |
再診 |
新井 啓介 |
火 |
再診 |
- |
水 |
再診 |
- |
木 |
再診 |
- |
金 |
再診 |
- |
備考 |
再診 |
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備 考
・受付時間 午前8時15分 ~ 午前11時00分
・診療開始時間 午前9時00分
・休診日
土曜日、日曜日
国民の祝日に関する法律に規定する休日
1月2日、1月3日及び12月29日から12月31日まで
・「再診」は、原則的に予約のみの診察です。
・予約のない方は、「新患・予約外」担当医が診察しますが、
診療科によっては当日受診できない場合もありますので
予めご了承ください。
*令和3年4月1日現在の情報であり、今後変更が生じます。
*外来担当医表に関するお問い合わせは当院外来業務課までお願いいたします。
横浜市立みなと赤十字病院
住所:横浜市中区新山下3-12-1
代表電話番号:045-628-6100