横浜市立みなと赤十字病院 アレルギーセンター

受付時間:午前8時15分~午前11時

トピックス

平成30年度第4回関節リウマチ教室を開催しました

◆日時:平成30年11月27日(火) 15:00~16:00

◆場所:みなと赤十字病院 3階大会議室

◆開催目的:病気に対する理解を深め、上手に付き合っていけるようにすることを目的とする。

◆対象者:通院患者さん及び一般市民

◆参加者数:34名(当院 7名 他院 10名 その他・不明 17名)

◆講義内容:「関節リウマチの合併症」 膠原病リウマチ内科部長 萩山 裕之医師

 

アンケート結果(回答者数 25名)

◆内容についての感想(複数回答あり)

①とてもわかりやすかった 8名

②わかりやすかった 2名

③あまり理解できなかった 2名

④わかりづらく理解できなかった 0名

※未回答 3名

 

◆今回の関節リウマチ教室でどのような話が役に立ちましたか?

・抗リウマチ薬と生物学的製剤の副作用について(6)

・肺病変(間質性肺炎等)について(3)

・ワクチン接種について(3)

・質疑応答(3)

・合併症について(5)

・ステロイドについて(2)

・リウマチの治療薬について(3)

 

◆日常生活を過ごす中で、リウマチについてお困りの事や不安はありますか?

・間質性肺炎なので、なかなかリウマチの薬が使えないので不安

・手の関節だけでなく、足指の関節にも変化が出てきた

・症状の進行についてあまりわかっていないので不安

・リウマチ因子や痛みも落ち着いていているが、メトトレキサートはいつまで飲まなければならないのか。

・主治医と上手くコミュニケーションが取れない。怒られてしまうから。

・薬が効かなくなった場合が不安

・見た目ではリウマチと分かりにくいため周りに理解されないので伝え方に悩んでいる

・足指の付け根が痛く、歩くことが不安

・痛い関節がふえていくことが不安

・痛みを測ることができず、個人差があると思うが痛さをどう医師に伝えたらよいのか

・しびれ

・関節リウマチは治らないということを聞き、行く末が不安

 

◆今後リウマチ教室で聞きたいテーマはありますか?

・日常生活で気を付けること

・骨粗鬆症の治療について

・リウマチとアレルギーの関係について

・関節リウマチの実例(治療談)

 

◆その他、ご質問、ご要望、ご感想等

【ご要望】

・みなと赤十字病院のリウマチ治療をどのように考え、どのように力を入れているのか知りたい。

・肺病変についてもっと学びたい

・一つずつの内容をもっと掘り下げて説明して欲しい

【ご感想】

・丁寧な勉強会を開催してもらえて参考になる。

・教室に参加して、主治医が結構考えてくれていたことがわかったのでより信頼できそう。

・今後も定期的に最新の情報を発信して欲しい

 

◆質疑応答

Q1:足の裏(肉球のようなところ)が少し歩くだけでも痛い。主治医に聞くと昔なったところだから治らないと言われたが仕方ないのか。

A1:MTP関節だと思われます。関節リウマチにおいては、MTP関節は症状がでる可能性が高い関節なので、炎症があるときにも痛みがでます。炎症が長く続いてしまうと、骨の破壊がおきて関節の変形が起こり、そのような場合でも痛みがおこります。私は、診察時には必ずMTP関節は触って炎症があるか見ています。炎症があるかどうか?関節の変形があるかどうか?痛みが炎症による痛みであれば、治療を強化することによって炎症が治まれば症状が改善されるかも知れません。ただ、関節が変形してしまっている場合は、内科的な治療薬ではなかなか良くならないので痛み止めで対処するしかなく、必要であれば手術ということになります。医療機関によっては、関節に触って炎症が分からないようであれば、エコー(超音波)で確認するところもあります。また、他の関節が腫れているようであれば、炎症が残っている可能性があるので治療の強化が必要になってくるのではないかと思います。

※MTP関節…中足指節関節(足の指の付け根にある関節)のこと

 

Q2:肺に影ができて、肺の治療をしているため、リウマチの治療が出来ない状態でいる。胸の下辺りを押すと痛くて、先日乳腺外科の診察・整形外科の診察・骨シンチなどの検査をした。まだ結果は出ていないが、胸の下あたりを押すと痛いということに対して何か想定されるものはあるか。

A2:手術をしたところではなければ、関節炎が非常にひどくて他のところも痛くなっている、肺の内部に何かあって痛い、または肋間神経痛など、色々と鑑別は上がると思います。

 

Q3:肺炎球菌ワクチンについて詳しく知りたい。

A3:肺炎球菌ワクチンは2種類あり、ニューモバックスは23種類の菌に対応しており、プレベナーは13種の菌に対応しています。23種類と13種類だと23種類を接種すればいいのかなと思うのですが、ニューモバックスは接種した後に免疫の抵抗力が長続きしないので、5年以上経過したらもう一度再接種しても良いと言われています。一方、プレベナーはワクチンの中に免疫の記憶をしっかり固定させるような物質を混ぜているので、13種に対する抵抗力が長く続きます。

 

Q4:ニューモバックスを接種して5年経過するので、今年接種する予定でいます。ニューモバックスとプレベナーのどちらを接種したらよいか。

A4:感染症学会から接種順序の案は出ていますが、完全に合意が得られている状態ではないのです。ニューモバックスを1回接種しているのであれば、今年はプレベナー、そこから半年か1年あければニューモバックスが接種できるので、その後にニューモバックスでもいいかも知れません。

 

Q5:リウマチの治療を始めて8年になる。今年、肺が狭くなったり固まってきてしまったりというような症状になった(間質性肺炎?)。詳しい検査は入院して組織を採らないとわからないと言われたが、今の状態ではそこまでする必要がないのではないかと言われた。肺が心配です。以前の治療はリウマトレックスとアクテムラだったが、現在はアクテムラだけで落ち着いている。

A5:間質性肺炎と気腫性の病変が合わさったようなものだと考えられます。肺の方は経過をみて進行するかが大切だと思います。割と病変があっても進まない方がいらっしゃいますので、もしも肺の病変が進まないようであって関節の炎症がきっちり取れているのであれば現在の治療を続ければよいと思います。半年、1年の経過をみて肺が悪化しているようであれば、肺に対する対処を考えればよいと思います。主治医の先生も半年に1回CTでフォローしているようなので経過を見てもらうのが良いかと思います。

 

Q6:65歳になっておらず、肺炎球菌ワクチンはまだ接種していないが、肺が悪化しても接種できるのか?

A6:肺炎球菌ワクチンは重篤な肺炎だけではなく、敗血性ショックなど重篤な状態になるのを防ぐ目的もあります。65歳以下ならばそのリスクは低く、免疫機能も保たれているとので65歳以上に推奨されているということではないかと思います。主治医の先生の考え方によっては、他の疾患があれば若年であっても接種したほうが良いと思っている先生もいると思いますのでよく相談をしてください。