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平成30年度 第3回成人ぜん息教室 開催報告
◆日時:平成31年2月20日(水) 15:00~16:00
◆場所:みなと赤十字病院 3階大会議室
◆開催目的:成人喘息の病態と治療について理解していただくことを目的とする
◆対象者:一般市民
◆参加者数:13名(当院:8名 他院:2名 その他:3名)
◆講義内容:「知ってほしい色々な喘息」 喘息アレルギー内科部長 渡邉 直人医師
アンケート結果(回答者8名)
◆今回の教室は何で知りましたか?
①外来受診時のお知らせ 6名
②院内ポスター 0名
③横浜市広報 1名
④ホームページ 0名
⑤その他(問い合わせ) 1名
◆今回の教室は役立ちましたか?(複数回答あり)
①いろいろ知ることができ、役に立った 5名
②前から知っていることだったが、確認になった 2名
③前から知っていることだったので、あまり必要な内容ではなかった 0名
④その他(わかりにくかった) 2名
◆今回の教室でどのような話が一番役立ちましたか?(複数回答可)
・様々なぜん息について(3)
・ぜん息と関係する疾患について
・ぜん息の原因と治療について
◆今後も参加したいと思いますか?
①ぜひ参加したい 3名
②都合がつけば参加したい 2名
③内容による 3名
④参加しないと思う 0名
◆今後取り上げて欲しいテーマ、ご意見・ご要望・ご感想等
【テーマ】
・食物アレルギーについて
・ぜん息と食物アレルギーの関係について
・ぜん息の治療ステップについて
【ご意見・ご感想】
・治療の重要性を実感した。
・高度な内容だったが、知らないことを色々と教えてもらった。
・専門用語が多く、内容がわかりづらかった。患者でもわかるように噛み砕いた言葉がいい。
・項目ごとのボリュームが違い、聞きたい内容が少なく残念だった。
【質疑応答】
Q1:子どもの頃、ぜん息発作が治まる注射を何回かしたことがある。大人になってから糖尿病と診断されたのだが、その注射とぜん息の関係について知りたい。
A1:花粉症の治療で5年間ステロイドの治療を注射でおこなっていた患者さんが、糖尿病と診断されたケースがある。ステロイドの注射を何回か続けていると糖尿病になることがある。重症なぜん息でステロイドを使わないといけない場合はステロイドを使わないといけないが、全身性ステロイド薬は長く使わずなるべく他の薬へ代替したほうがよい。現在、生物学的製剤という重症ぜん息のコントロールに役立つ薬があるので、全身性ステロイドは減量・中止の方向になっている。
Q2:今まで色々な医師と話したが、子どもの頃に行ったぜん息発作を抑える治療と糖尿病が関係あると言われたことがないのだが、関係あるのか。
A2:ステロイドは副腎から出てきているホルモンだから、ステロイドを外部から使ってしまうということは、副腎機能を抑制させてしまうので続けることはあまりよくない。その当時の診療内容がわからないので正確には言えないが、おそらくステロイド薬でぜん息の治療をしていたと思うので、糖尿病になったとすれば関係あったのかも知れない。
Q3:肥満とぜん息の関係はあるのか。
A3:肥満があるとぜん息のコントロールが悪くなり、薬が効きにくくなる。すると吸入ステロイド薬などの量も増え、悪循環となるので肥満は改善したほうがよい。
Q4:ぜん息の合併症について知ることが出来たが、睡眠時無呼吸症候群は自覚できるものではないと思うが、きちんと調べるためには別の診療科を受診する必要があるのか。
A4:アレルギー科に通院している患者さんであれば、当院でも検査することが出来る。ぜん息患者の2~3割は、睡眠時無呼吸症候群を合併している。この症状は自分で気づくことができないことが多く、家族からいびきがうるさい、呼吸が時々止まっているなど指摘されて気づく方が多い。ご自身で気づくには、日中の眠気が多い、急に眠気が襲ってくる、頭重感、頭がぼーっとするなどの症状があれば調べてみても良いと思う。始めは簡易型の検査をし、異常があれば精密検査をしていく。
Q5:ぜん息は遺伝するものなのか。
A5:アトピー型のぜん息の中には、遺伝体質を引き継ぐタイプがあるので遺伝するものもある。
Q6:成人で発症したぜん息は環境によるものなのか。
A6:喫煙したとか公害の町に住んでいて、空気が悪いとか、仕事で有害物質を吸い込んでいる等の場合は環境型のぜん息です。
Q7:現在、アドエアを吸入しているが、これはステロイドなのか。
A7:ステロイドが入った吸入薬である。
Q8:ステロイドの入った吸入薬は、ずっと吸い続けていると糖尿病などを発症する危険があるのか。
A8:危険はある。吸入薬は内服や注射に比べるとステロイドの量は圧倒的に少なく、また気道局所に効く薬なので副作用は少ないとされているが、長期使用になると危険性はあるので気をつけて使ってもらいたい。おそらく、ぜん息を診ている医師は、半年から1年くらい症状がないのであれば薬の量を減らそうとしていると思う。