横浜市立みなと赤十字病院 アレルギーセンター

受付時間:午前8時15分~午前11時

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平成30年度第1回成人ぜん息教室を開催しました

平成30年度 第1回成人ぜん息教室 開催報告

◆日時:平成30年6月6日(水) 15:00~16:00

◆場所:みなと赤十字病院 3階大会議室

◆開催目的:成人喘息の病態と治療について理解していただくことを目的とする

◆対象者:一般市民

◆参加者数:17名(当院:5名 他院:9名 その他:3名)

◆講義内容:「ぜん息と上手につき合おう」   アレルギーセンター長  中村 陽一医師

 

アンケート結果(回答者16名)

◆今回の教室は何で知りましたか?

①外来受診時のお知らせ  4名

②院内ポスター 0名

③横浜市広報 11名

④ホームページ 1名

 

◆今回の教室は役立ちましたか?(複数回答あり)

①いろいろ知ることができ、役に立った 11名

②前から知っていることだったが、確認になった 3名

③前から知っていることだったので、あまり必要な内容ではなかった 0名

※回答なし 2名

 

◆今回の教室でどのような話が一番役立ちましたか?(複数回答可)

・ぜん息の吸入薬の選び方について

・ぜん息と上手につきあう方法と意義について

・吸入薬を続ける重要性について(5)

・ぜん息の合併症について

・天気や気圧との関係について

 

◆今後も参加したいと思いますか?

①ぜひ参加したい 7名

②都合がつけば参加したい 6名

③内容による 3名

④参加しないと思う 0名

 

◆今後取り上げて欲しいテーマ、ご意見・ご要望・ご感想等

【テーマ】

・ぜん息の薬の副作用について

・効果的な呼吸方法について

・日常生活での注意点について

 

【ご意見・ご感想】

・毎回、新たな知識が得られて嬉しい

 

【質疑応答】

Q1:アレルギー性鼻炎と食物アレルギー(甲殻類)があり、一昨年の秋に風邪をひき、咳が続いていたので、もしかしたら喘息かも?と思い、近くの呼吸器内科を受診し、症状と検査で喘息と診断された。薬を使い2ヶ月位で良くなったので自己中断した。今年の春に風邪をひき、再度症状が出現し治療を開始しているが、食物アレルギーもあるのでこれからどう付き合っていったらよいか。

A1:(再度症状出現したときには点滴をしなくてはいけないほどだった)これは軽症ではないので、薬は1年中使用したほうが良いが、これは症状からだけ見た話です。通常、喘息は症状、呼吸機能検査、呼気一酸化窒素を調べて診断します。その3本柱ですべてが正常だった場合、一度薬を中止しても良いのではないかと思います。1つでも正常ではなかったら、続けないといけません。薬を続けなくてはいけないパターンではないかと思います。その上、食物アレルギーがある人は軽度の蕁麻疹程度ならよいが、アナフィラキシーを起こすような重症な症状の人の多くは喘息をもっているので、しっかりと治療しなくてはいけません。

 

Q2:30年前位に2ヶ月間咳が止まらなかった。薬を処方されて咳は治まった。その後25・6年症状がなかったが、去年の10月から今年の4月頃まで、薬を処方されても咳が止まらなかった。呼吸器内科で喘息気味と言われて採血したが、アレルギーは何もなく腎臓や肝臓も異常はなかった。内服と吸入薬を使用し咳は治まったので、アレルギーもないのならば、できれば吸入薬は使用したくない。吸入ステロイドにどんな副作用があるか不安。

A2:①二十数年も症状がなかったのであれば、それは喘息だったのかの判断は難しい。百日咳、マイコプラズマ、クラミジア感染等は、長引く咳と息苦しさがあるので、そのようなものだったかもしれない。現在もどの治療をしてもあまり効果が無いのであれば喘息ではない可能性はある。

②成人になってからの喘息は、検査でアレルギーが何も出ないことが多いため、珍しいことではないので喘息はまだ否定できない。

③吸入ステロイドは世界で認められており、妊婦さんにも使えるのは吸入ステロイドしかありません。吸入ステロイドは赤ちゃんに移行することがないので、妊婦さんにも安全に使える薬といえます。内服、注射、軟膏のステロイドは全身にわたります。ステロイドの吸入薬は安心だということは覚えておいてください。吸入ステロイドで声嗄れがある方は、粉タイプを吸入していたならば、エアゾールタイプに変更する、吸入のタイミングを食後から食前に変える等、様々な工夫で声嗄れが消えることがあります。吸入で心臓がドキドキしたり、手が震えたりするのは吸入ステロイドではなく、気管支拡張剤の副作用です。

 

Q3:2012年から声嗄れが良くなったり、悪くなったりが続いている。一昨年、声の専門病院(耳鼻科)に受診したが、特に異常はないと言われ、なぜ声が嗄れてしまうのかわからない。現在使っている薬はフルティフォーム、スピリーバレスピマット、発作時はサルタノール。

A3:吸入薬で声嗄れが起きている場合、耳鼻科の先生に診てもらえばわかると思うのですが、おそらく吸入薬による副作用だと思われます。他に年齢的なもので、声帯の萎縮などに吸入薬がかかったりすると声嗄れが出たりしやすい人もいます。吸入のタイミングを食前に切り替える、うがいを水ではなくアズノールうがい薬にするなどの工夫が必要ではないかと思います。

 

Q4:毎年12月末頃から風邪+花粉+喘息になり、5月頃になると治る。症状がよい時期は吸入薬をやめてしまっているが、ずっと続けていったほうが良いのか。喘息までいっていないのではないか、うやむやになっている。

A4:まず喘息の診断が正しいのか、主治医にはっきりと聞いてみるべきです。喘息だとするなら、症状、呼吸機能検査、呼気一酸化窒素の3つ全てが正常ならば、吸入薬をやめてみても問題はない。ただし、1つでも正常でなければ続けたほうが良い。

 

Q5:予防接種をしても2年連続でインフルエンザにかかってしまうのはどうしてですか。

A5:インフルエンザのワクチンは、インフルエンザにかかりにくくなるのではなく、かかったときに重症化しないようにするためです。重症化しないためにも、接種したほうが良いのではないかと思います。

 

Q6:先ほどからよく三要素という言葉が出ますが、何の3要素ですか。

A6:症状、呼吸機能検査、呼気一酸化窒素です。喘息のコントロール状態を判定するためのものです。