横浜市立みなと赤十字病院 アレルギーセンター

受付時間:午前8時15分~午前11時

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平成29年度第3回成人ぜん息教室を開催しました

平成29年度 第3回成人ぜん息教室 開催報告

◆日時:平成30年2月27日(火) 15:00~16:00

◆場所:みなと赤十字病院 3階大会議室

◆開催目的:成人喘息の病態と治療について理解していただくことを目的とする

◆対象者:一般市民

◆参加者数:10名(当院:9名 他院:1名)

◆講義内容:「ぜん息の治療について~吸入療法を中心に~」

                喘息アレルギー内科部長 遠藤順治医師

 

アンケート結果(回答者8名)

◆今回の教室は何で知りましたか?

①外来受診時のお知らせ 6名

②院内ポスター 0名

③横浜市広報 1名

④ホームページ 0名

⑤その他(友人より) 1名

 

◆今回の教室は役立ちましたか?(複数回答あり)

①いろいろ知ることができ、役に立った 5名

②前から知っていることだったが、確認になった 2名

③前から知っていることだったので、あまり必要な内容ではなかった 0名

※回答なし 1名

 

◆今回の教室でどのような話が一番役立ちましたか?(複数回答可)

・薬の粒子の大きさによって到達点が違うということ(4)

・自分が服用している薬の作用について

・吸入薬の作用機序について

・喘息の薬の処方が炎症と気管の状態で違うこと

・身の周りのアレルゲンについて

 

◆今後も参加したいと思いますか?

①ぜひ参加したい  4名

②都合がつけば参加したい 3名

③内容による 1名

④参加しないと思う 0名

 

◆今後取り上げて欲しいテーマ、ご意見・ご要望・ご感想等

【テーマ】

・食物アレルギーについて

・喘息と肺炎の関係について

・喘息と食事、運動の関係について

 

【ご意見・ご感想】

・自分の服用している薬の作用がわかったので安心して服用できると思った。(2)

・毎回初めて聞く話が含まれているので知識が増え、日常生活で注意すべきことが確認できる。

・とても細かく説明してもらえてわかりやすかった。(2)

・資料がわかりやすかった。

 

【質疑応答】

Q1:気管支喘息だと肺炎になりやすいのか?

A1:きれいな気管支粘膜は病原体から守ってくれるバリア機能があるが、喘息のコントロールが悪いと気管支粘膜が荒れている状態(炎症のある状態)なので、ウイルスなどがつきやすく風邪などにひきやすかったり、肺炎などになりやすいと言われています。個人差はありますが、かかりやすさも違いますし、一度かかってしまってからの治り具合も違います。喘息のコントロールが悪くて気管支炎・肺炎になった場合は重症化しやすいといわれています。

Q2:ダニは夏だけではなく冬もいるのか?

A2:ダニは一年中います。一番多いのは布団やベッドがある寝室です。人間が6〜7時間くらい布団やベッドで寝ると適度に水分があり、エサになるフケや垢があって、温度も37℃くらいの適温であるため、ダニにとっては最高な条件だからです。ダニの死骸と糞は掃除機でしっかり吸い取ることで、粉々に細かくなったものを寝ている間に空気と一緒に吸う量を減らせるため、しっかりと掃除することが喘息の悪化予防につながります。絨毯やソファーなどのリビングもダニが多い所なので掃除はとても大切です。環境整備は薬物療法より大切ともいえます。

Q3:気管支の内部で炎症を起こしている部分は人によって違いますか?

A3:人によって炎症の場所や炎症の強さの程度には差があると考えられます。気管支の一部だけに限局して炎症が起きているのではなく、気管支全体に広く気道炎症を起こしていると考えられます。

Q4:処方されている吸入薬は(2~5μmくらいのものだが)両肺の全部の気管支まで到達しているということですか?

A4:中枢気道から末梢気道まで、気管支の枝分かれしている先の部分にも吸入薬は到達するように作られています。

Q5:アレルゲンの大きさは種類によって違うと思うのですが、到達する場所が違うのか?

A5:アレルゲンの大きさはさまざまです。ダニ、フケ、ペットの毛、カビなどは粉々になり小さくなって空気中を舞うので、空気と一緒に吸ってしまい中枢気道から末梢気道にいたる炎症を起こすアレルゲンとなります。また、花粉の粒子は約20~30μm程度で比較的大きいため気管支喘息に影響を起こしにくいと言われていますが、壊れてしまった花粉は粒子が小さくなってしまうので、気道の奥まで到達する可能性があり喘息が悪化することもあります。

Q6:気管支拡張薬には、気管支を拡張することで今まで届かなかったアレルゲンが奥まで入ってしまう危険があるということなのか?

A6:喘息の患者さんの気管支は、気道に炎症が起きており健常人よりも細くなっています。気管支拡張薬は本来の気道のサイズに戻すことを目的としています。健常の人と同じように息を吸って入ってくる抗原が同じように入るようになったということです。正常のサイズ以上に太くなるわけではなく、健康な気管支の太さに戻るということで、危険になるわけではなく、むしろ元の太さになり呼吸が楽になります。