横浜市立みなと赤十字病院 アレルギーセンター

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平成29年度第4回関節リウマチ教室を開催いたしました

平成29年度 第4回 関節リウマチ教室 開催報告

◆日時:平成29年11月7日(火) 15:00~16:00

◆場所:みなと赤十字病院 3階大会議室

◆開催目的:病気に対する理解を深め、上手に付き合っていけるようにすることを目的とする。

◆対象者:通院患者さん及び一般市民

◆参加者数:38名(当院 9名 他院 17名 その他 4名 不明 8名)

◆講義内容:「関節リウマチの合併症」 膠原病リウマチ内科部長 萩山裕之

 

アンケート結果(回答者数 28名)

◆内容についての感想(複数回答あり)

①とてもわかりやすかった 10名

②わかりやすかった 11名

③あまり理解できなかった 4名

④わかりづらく理解できなかった 2名

※未回答 3名

 

◆今回の関節リウマチ教室でどのような話が役に立ちましたか?

・薬の副作用について(6)

・リウマチの薬物治療について(5)

・リウマチの合併症について

・ワクチン接種について

 

◆日常生活を過ごす中で、リウマチについてお困りの事や不安はありますか?

・薬を長年服用しているので、将来が不安。

・寒さで痛みが強くなるので、冬だけではなく夏場の冷房もつらい。

・体力が続かない

・髪の毛が抜ける

・痛みとの闘い(4)

・生物学的製剤を使っているが、痛みが続いたり、手が腫れたりすることがあり心が折れる。

・痛む関節が増えているが、メトトレキサートを減らしていくと言われ不安。

・関節の痛みで着替えがひとりでできない

・動作が緩慢になった

・重い物が持てなくなってきた

・病院で治らない痛みと言われること

・本人の痛みの訴えと実際の症状の判断にギャップがあるように感じることがある。

・炎症がつらい

・今後がどうなるのか不安

・最近、右手の親指が機能しなくなり、箸やハサミ、針等がうまく使えない。

 

◆今後リウマチ教室で聞きたいテーマはありますか?

・リウマチが悪化しないための注意点や日常生活の工夫について(2)

・間質性肺炎について

・リハビリテーションについて

・シェーグレン症候群について

・リウマチになる過程について

・免疫について

 

◆その他、ご質問、ご要望、ご感想等

【ご質問】

・胸膜炎で胸水がたまるとのことだが、足(くるぶし)や手首にも水がたまることはあるのか?

・リウマチになりやすい体質や遺伝はあるのか?

・関節の痛みは残っているが、CRPが26から0.03まで下がった。治ったのか?

・痛みはそれほど強くないが、快方に向かうためにさすったりする方がいいのか?

【ご要望】

・開催回数を増やしてほしい

・参加者同士の意見交換の場が欲しい

 

◆質疑応答

Q1 生物学的製剤投与後に副鼻腔炎を繰り返しているが、これは薬剤からくる病変なのかその判断は血液検査でできるのか?それとも臨床から判断するのか?現在副鼻腔炎を発症しているので、定期的に耳鼻咽喉科にも通っている。先生が言うにはエリスロマイシンを気管支拡張症でずっと内服しているため、それで抑えられていないのでマクロライド系のクラリスロマイシンではダメなのかと聞かれたため呼吸器の先生に確認した。非結核性抗酸菌に感受性を持つクラリスロマイシンはキードラックなので(その使用は)非常に判断が難しいと言われたが先生はどう考えますか?

A1 副鼻腔炎自体は生物学的製剤で起こる事はないが、元々副鼻腔炎があってそれに対しての感染のコントロールがうまくいかないってことはあるかもしれません。副鼻腔炎・気管支拡張症の治療でマクロライド系を使うのは良くあることで、エリスロマイシンでダメであればクラリスロマイシンを使うのは常套手段であると思います。しかし、非結核性抗酸菌症がある方の場合は、クラリスロマイシンは長く使うと耐性化をきたしてしまう可能性があるため、それが良い選択肢なのかが呼吸器科の先生の答えなのだと思いますが、それはケースバイケースだと思います。なかなか結論は決められないと思います。

 

Q2 副鼻腔炎になり、ジェニナック処方してもらったが、なかなか改善しなかった。悪化もしていたのでペニシリン系のサワシリンを処方されたら咳も痰も改善した。サワシリンを2週間処方された、その後エリスロマイシンを飲んでよいかの判断ができない。それは呼吸器内科で決めることですか?

A2 呼吸器内科や耳鼻科が専門ですので、基本的には(エリスロマイシンの)抗菌作用ではなくてプラスαの作用を期待して抗菌薬と併用することがあります。だた、それを決めるのは呼吸器や耳鼻科の先生です。

 

Q3 昨年17歳の高校生の男の子がリウマチを発症した。1年間ずっと、ステロイド10㎎を使用して、1年後の9月に白血病を発症しました。大腿骨の骨も減っているということでそれも手術しなくてはいけない。ヒュミラを使って効かず、シムジアに切り替えても効かなかった。すごく痛がってしょうがなかった。本当に関節リウマチだったのかと疑いがあったりもするが、白血病になったのはお薬の合併症だったりするのか?

A3 関節リウマチ(若年性も含めて)に白血病が合併するのは多いとは言われていません。白血病が発症したのは別の機序でということになると思います。ステロイドはできるだけ減らしていくことを専門医は当然考えるのですが、どんな場合でもどうしても100%コントロールできるとは限らないのでステロイドが残ってしまう方がいらっしゃいます。そういう方への治療は、今後新薬などの効果でよりよい治療法を考えていくしかないと思います。現状で、理論通りに(治療が)進まない方がいるというのも実際に確かです。(ステロイドが)残ってしまったのが悪いのではなく、しょうがないということです。

 

Q4 出産後に発症し、授乳をしていたので治療を開始するまでに2年間くらい間をあけてしまったが、メトトレキサートを使用しており一緒にうがい薬も処方されている。1日3回以上うがいをするように言われています。自分の持っている細菌にやられるのが風邪などよりも怖いことだからという説明をされた。薬を使ってうがいすることは、自分の持っているいい細菌まで壊してしまうことがあるって聞いたことがあり、それほどにうがいは必要なのか?

A4 うがいをしすぎたら菌が交代をおこすなどとは言われていないので、うがいをしたい方はしていただければいいです。

 

Q5 指先など小さな関節の痛みは、薬を使用してから軽減した。最近になり股関節・膝・首の痛みが出始めているが、その痛みは治療までに2年間の空白があったからもう取れないって言われた。整形外科に行ったら何か違うのかと質問したら、整形外科に紹介する時には手術する時だよって言われたのですが、本日の話を聞いていろいろな薬があり中には薬で痛みが良くなったと聞いて、痛みをとることはできますか?

A5 関節リウマチの痛みには2種類あって、1つ目は炎症による痛み、2つ目は変形による痛み。今痛いところに炎症があるかないか、それが一番大事です。炎症があるかないかは触診で触って確かめるしかなくて、施設によってはエコーで診るところもあります。関節に炎症があれば治療を強化すべきですし、変形による痛みであれば痛み止めになると思います。主治医の先生と炎症があるのかないのかを良く話してみてください。