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平成28年度 第3回成人ぜん息教室 開催報告
◆日時:平成29年2月15日(水) 15:00~16:00
◆場所:みなと赤十字病院 3階大会議室
◆開催目的:成人喘息の病態と治療について理解していただくことを目的とする
◆対象者:一般市民
◆参加者数:22名(当院:11 他院:9名 その他・不明:2名)
◆講義内容:「気管支ぜん息の治療について」 喘息アレルギー内科部長 遠藤順治
アンケート結果(回答者21名)
◆今回の教室は何で知りましたか?
①外来受診時のお知らせ 13名
②院内ポスター 2名
③横浜市広報 6名
④ホームページ 0名
◆今回の教室は役立ちましたか?(複数回答あり)
①いろいろ知ることができ、役に立った 20名
②前から知っていることだったが、確認になった 3名
③前から知っていることだったので、あまり必要な内容ではなかった 0名
◆今回の教室でどのような話が一番役立ちましたか?(複数回答可)
・薬剤の位置付けについて(2)
・ぜん息治療薬の使い方や種類について(10)
・ぜん息の病態について(2)
・リモデリングについて(5)
・薬の特徴について
・ぜん息の治療について
◆今後も参加したいと思いますか?
①ぜひ参加したい 13名
②都合がつけば参加したい 6名
③内容による 2名
④参加しないと思う 0名
◆今後取り上げて欲しいテーマ、ご意見・ご要望・ご感想等
【テーマ】
・日常生活の注意点について(2)
・環境整備について
・他疾患があるぜん息患者が気を付けることについて
・最新の治療薬について
・ぜん息発作の起きにくい生活習慣について
・循環器疾患や検査について
・腸内フローラについて
・冷え性について
・アレルギーの原因物質について
【ご意見・ご感想】
・長年(30年以上)のぜん息症状で、今までの流れ、これからの注意、治療方法が見えてきたような気がする。これからも主治医によく相談して治療をしていきたい。
・ぜん息について細かいことがわからなかったが、色々なことがわかってよかった。
・これからは迷わずに薬を使うことができると思う。
・診断に納得しきれないところがあり参加したが、色々と質問ができてよかった。
・少し難しかった。
・ステロイドの副作用が怖い。いつまで続けなければならないのか。
・自分に合う治療薬を主治医と相談しながら見つけたい。
◆質疑応答
Q1 LAMA(ラマ)とは何ですか。
A1 気管支を広げる薬(気管支拡張薬)です。LAMAとは、長期間作用型抗コリン薬(副交感神経遮断薬)のことで気管支拡張薬の一種です。自律神経のうち副交感神経は気管支を狭くさせる作用があるため、それを抑えることにより気管支を広げる効果があります。一方、LABA(ラバ)は、長時間作用型のβ刺激薬(交感神経刺激薬)の気管支拡張薬です。こちらは、自律神経の交感神経を刺激して気管支を拡張させる薬剤です。両方とも自律神経を介して効きますが、交感神経に作用して気管支を広げる薬(LABA)と、副交感神経の作用を和らげて気管支を広げる薬(LAMA)に分けて区別しています。
Q2 作用時間が長い薬はどれですか。
A2 どの薬も作用時間が決まっています。長時間作用型の薬剤でも、以前からある吸入薬のほとんどは約半日くらい効く薬が多いので1日2回朝夕に吸入する薬が多いです。また、この資料の中にもあるように、最近は作用時間が24時間効く吸入薬もあり、1日1回の吸入で大丈夫です。具体的には、スピリーバ(LAMA)やレルベア(ICS/LABA)などは24時間効果があるため、1日1回の吸入となります。作用時間が半日程度なのか24時間なのかで、1日の定期吸入回数が変わってきます。
Q3 レルベアは朝と夕に分けて吸った方がいいのですか。
A3 レルベアは1日1回吸入型のICS/LABAの吸入薬です。毎日ほぼ同じ時間に使ったほうがよいです。朝なら朝と決めて朝1回吸うと一定の濃度になるように作られているので、あえて時間を変える必要はなく朝なら朝、夕方なら夕方と大体の時間を決めて1日1回吸入するとよいです。多少の時間のずれは特に問題ないです。
Q4 長期管理薬の2種類使う場合は、吸入時間を分けた方がよいですか。
A4 吸入薬を複数使っている場合、通常は吸入時間をあえて分ける必要はありません。今回の資料では、治療薬の種類を、A(抗炎症薬。ICSが代表薬)とB(気管支拡張薬。LABAが代表薬)と大きく2つに分けました。ICS/LABA配合薬にLAMAを併用する場合、吸入時間を分けずに同じ時間帯に吸入して問題ありません。
Q5 A(抗炎症薬。ICSなど)とB(気管支拡張薬。LABAなど)の薬は両方使わないと意味がないですか。
A5 喘息の状態が軽症であれば軽目の薬でよいし、中等症から重症になっていけばそれだけ治療を強めにしないとうまくコントロールできなくなります。私たちの目標としては日常生活が普通にできる状態になるまで治療内容をアップダウンして一番いい状態で最小限の薬を使うようにしています。年間を通じ、調子の良くない時は薬の量が増えたり、調子のいい時は減らすことも、患者さんの病態に応じて行なっています。喘息治療で重要なことは、治療の基本はICS(抗炎症薬、A)ということです。喘息の重症度に応じて、ICSの量の増減や、他剤の追加を考慮します。喘息の治療では、AのICSが基本治療薬です。次に必要に応じて、ICS以外の治療薬の追加を検討するという順番です。
Q6 喘息の方はみんなリモデリングがおきているのですか。
A6 気道リモデリングは簡単に言うと気管支が細く硬くなっていくことをいいます。喘息の方は個人差がありますが、リモデリングが進んでいきます。気道の炎症を抑えることによってリモデリングの進むスピードをゆっくりできると考えられています。そのため、自覚症状が軽く感じられても、慢性疾患の喘息の治療を継続することがとても重要です。